アンダーロストシティ

 21世紀初頭。原因不明の力により世界中の都市が一瞬にして崩壊し、地下へと姿を消した。そして、世界の崩壊と同時に生まれた超次元動力源“メタエネルギー”によって、世界は地上に新たな文明を築く。人類の文明の発展に欠かせないメタエネルギーは、あらゆる物質に疑似的な生命を与え、“ゴースト”を発生させた。

 文明発展のために政府指揮のもとゴーストと戦う青年カインと、その日を生きるためにレジスタンスの一員となって政府に対峙する少女ニーナの物語。

3話

 政府軍本庁舎は、メガシティ・トーキョーの上層地域、官公庁が立ち並ぶ東部にある。上層の建物に相応しく、地上30階の高層建造物で、光沢のある花崗岩でできた外壁が荘厳さを物語っていた。建造物内部ももちろん、磨かれた石材の床や柱ばかりで、温もりは…

2話

 メガシティ・トーキョーの下層。スラム街の一角に、あたしが帰る家――あたしが所属するレジスタンス、「アカギ派」の拠点はあった。ロストシティから脱出したあたしは、拠点へと続く小道を歩くように滑る。日が傾いて赤く染まったスラム街を通りながら、漂…

1話

 メガシティ・トーキョーの地下に埋もれたロストシティ。その下層にあるトンネル内を、カインは歩き続けていた。トンネル内の電灯は、電力の供給が断たれてから200年が過ぎているにもかかわらず、ちらちらと発光している。この現象は、ロストシティに未だ…

0話-プロローグ

――21世紀初頭、2001年。 発展を続けると思われていた文明は、膨大なエネルギーの衝突により、または膨大な情報の衝突により、一瞬にして消滅した。その原因の詳細は100年の歳月を以てしても明らかになることはなかったが、事実として、世界中の都…