5話
「私の今までの恋愛って『逃げ』だったのかな」「逃げ、ですか?」「うん。『男は怖い』っていう先入観が働いて、男の人と関わること自体から逃げてきてたんじゃないかなって、思って。男の人と関わらないから、必然的に女の人としか交友関係がなくなって、好…
私のココロ、君のカラダ。
4話
「僕、『俺』って一人称、使いたくないんですよね。かわいくないし、なんか偉そうだし」「そうですか? んー……まあ、言われてみれば確かにそう、かも」「でしょ? でも、『私』だと、なんだか丁寧な感じで、業務的……じゃないけど、堅苦しいっていうか。…
私のココロ、君のカラダ。
3話
『お話させてもらえませんか?』 そんなSNSのメッセージが小田さんから届いたのは、髪を染めてから三週間後。5月が始まったばかりの、日曜日の夜のことだった。***3話*** 大型連休。5月3日、月曜日の、昼下がり。駅中のコーヒーショップにて。…
私のココロ、君のカラダ。
2話
花柄の白いフレアチュールスカート、薄手で桜色のオーバーニット、タートルネックの白いシャツ、グレーの三つ編みヘアバンド、紺のタッセルピアス、お気に入りのメガネ。愛用の、白と紺のチェック柄のショルダーバッグで、完璧。「よし」 先輩に、かわいい…
私のココロ、君のカラダ。
1話
駅前を歩いていて、突然声が耳に届いた。「篠田さん!」 私の苗字。そして、どこかで聞いた声。呼ばれた気がして振り返ると、そこには、嬉しそうな笑顔で私の背後に立つ、きれいな顔立ちの、私より少し背が高い、小柄な男性がいた。「すみません。見かけた…
私のココロ、君のカラダ。